かつて岩本町には、江戸時代の前から「お玉が池」という上野の不忍池よりはるかに大きな池があり、「桜が池」とも呼ばれていました。また、この辺りはかつて湿地帯で、池の周囲には柳や桜が咲き誇り、はるか向こうには江戸城が見えたそうです。
池の名前はこの地にいたお玉の伝説に由来します。美人で評判のお玉という娘に、人柄も容姿も似たような男二人が思いを寄せ、悩んだお玉は桜が池に身を投げました。この話からこの池をお玉が池と呼ぶようになったとされます。池のあった場所の一角にはお玉の霊を慰めるため、お玉を祀る祠「繁栄お玉稲荷神社」があります。
『柳森神社略誌』には、「むかしは神田川も柳森いなりの南を流れ、お玉が池にも接近して此の辺は一面に沼地で雁が下りた処から雁淵と呼んだ。併し江戸の町の発展に依り、此の沼地も埋立て、寺地や宅地となった。今岩本町の辺なり。」と書かれています。
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