長竜寺は、曹洞宗のお寺です。文禄二年(1593年)に四番町に開創され、後市谷佐内坂へ移り、勅賜号を賜わる旗本寺として栄えました。明治42年に現在地に移転しました。 宝暦六年(1756年)建造の本堂、元文二年(1737年)建立の山門は、このとき移築されたものです。 本堂左の小堂には、区の有形文化財に指定された石造地蔵菩薩立像が安置されています。この右耳の欠けた地蔵尊は豆腐地蔵と呼ばれています。この豆腐地蔵には以下の言い伝えがあります。 むかし佐内坂下の豆腐屋へ夕暮れ時に、みすぼらしい身形の僧が豆腐を買いに来きました。僧が帰った後、店主が貰った銭を見ると木の葉だったのです。このようなことが何回もあったので、店主はお上に訴え出ました。いつものように豆腐を買って帰る僧を、張り込んでいた役人が呼び止めると、僧は慌てて逃げ出したので、役人は抜き打ちに一刀を浴びせました。カチンと音がした刹那、僧の姿は消え去り、道に血が付いた小石が転がっていたのです。血の滴りの跡を尾けて行くと、長竜寺門前の地蔵の前で消えており、地蔵尊の右耳が欠け、頬に刀傷があったのです。僧は地蔵の化身だったことが判り、豆腐屋の主人は毎日地蔵尊像に豆腐を供えて供養したところ、商売が大変に繁盛したとのことです。 墓地には武田信玄の叔父武田信恵(のぶよし)、徳川譜代の臣長坂血槍九郎信政の墓があります。
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〒166-0003 東京都杉並区高円寺南2丁目31−2