吉祥院は象頭山遍照寺と号する天台宗の寺で本尊は不動明王です。中興開山は上高井戸村の並木卓善で、明治16年に開創されました。 並木卓善は不動信仰に厚く、明治8年には成田山新省講を結成し、成田不動尊の末寺的な寺院を創設しようと計りました。しかし、当寺は寺院の新設は禁止されていたため、丁度廃寺となっていた谷中の吉祥院を再興するという姿で開かれたのが、当院のはじまりです。変則的な由緒をもって開創された当院は、新省講の祈願寺として信徒の篤い信仰を集めました。大正5年に刊行された『豊多摩郡誌』は、そうした当院の様子を「毎月廿八日塞客多し、殊に節分会及二月十五日は信徒の詣づもの頗る多く境内立錐の地なし」と伝えていますが、今日でも東京西北部一帯の人々に広く信仰されています。 現在の本堂は文化3年(1806)の建築で、開創の年に移築したものです。また、境内の諸石像を配置した築山は、成田山を模して造られたものといわれています。 なお、当院は信徒から寄進された多くの記念石碑のほか、江戸時代につくられた大日如来像・阿弥陀如来像・地蔵菩薩像などの文化財も所蔵しています。
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〒168-0071 東京都杉並区高井戸西1丁目5−44